「予防歯科」が根づくスウェーデンを訪ねて ― 日本とは違った、あんなこと・こんなこと<後編>―

古い建物と最新の設備、両方を大切に

博物館のようなレンガ造りの校舎

スウェーデンは古いものと新しいものの調和が魅力的な国ですが、予防の聖地・マルメ大学もまさにそうでした。
レンガ造りの校舎は歴史ある建造物で、国が所有しているのだそう。室内に昔の歯科器材と思われるものや薬品棚が置いてあったり、古いらせん階段やランプが普通に使われていたり。まるで博物館のようです。

時代に合わせて学び方を最適化

一方で、学生たちが学ぶ設備は最新! たとえば技工士の実習室には一人ひとりの席に手元を映すモニターが設置されていて、学生がボタンを押すと画像がパッと先生のモニターに。デジタルを活用し、各々が効率よくコミュニケーションできるようになっていました。
古い物へのリスペクトを忘れず、学び方は時代に合わせて最適化していく。私もこんな環境で勉強してみたかったなぁ、とうらやましく思いました。

「教える―教わる」ではない教育システム

学生が中心、先生は最低限のサポートをするのみ

校内の見学後、先生方からお話を聞く機会にも恵まれました。話題にのぼったのは、学生への教育方針について。
日本では「先生が講義をして学生が聞く」というスタイルが一般的ですが、ここでは学生が中心。一定の情報をレクチャーした後は自習となり、学生が自分で調べて考える時間が設けられています。そしてその成果を発表し、学生同士でディスカッション。そこでの気づきを深め課題を解決するために、また自習。先生は軌道修正や最後のまとめなど、最低限のサポートをするのみだそうです。

自主的に学ぶ力をつけさせるのが大学の役割

こうした教育プログラムの背景にあるのは、「学生の将来を見据え、自主的に学ぶ力をつけさせるのが大学の役割」という考え。しかも随時評価を行ない、ブラッシュアップしているとのことです。学びの本質がきちんと考えられているのだと感銘を受けました。
教えを受けるのではなく、自ら考え実践する――。これはきっと、臨床現場での患者教育にも応用されているのでしょう。考え実践するのは患者さんで、自分たちはサポーターであると。「教えない」ことの価値を改めて実感しました。

休憩はしっかりと。大切なFikaの時間

頑張る時間とリラックスする時間、メリハリつけて充実を

余談になりますが、マルメ大学の見学では休憩時間も印象に残りました。スウェーデンでは10時と15時にコーヒーや軽食を楽しむ「Fika(フィーカ)」という習慣があり、大切にされています。
今回提供されたシナモンロールはずっしり重く、私には一食分のボリューム! 「そろそろFikaの時間も終わりね」の声かけに慌てる私。「無理しないで」と笑う先生のお言葉に甘えて、最後のひと口までおいしくいただきました。
がんばる時間とリラックスする時間。メリハリつけてどちらも充実させようとする姿勢を、ぜひ真似したいです。