お母さんの口腔内をキレイにすると、 お子さんのむし歯予防につながります

東谷 桂子さん・徳永 真優さん・黒澤 菜海さん・三浦 衣織さん(藤が丘スピカデンタルケアクリニック/歯科衛生士)

小児のむし歯予防のポイントがわかった

親子で取り組むほうが行動変容が起こる

黒澤さん:当院では以前、お子さん“だけ”のむし歯予防に力を入れていました。でも、親と子がどちらも予防に取り組んで行動変容を起こしているケースと比べてみたところ、そちらのほうが小児のむし歯罹患率が低かったんです。
そのため現在は、「家族で一緒に予防する」「妊娠中からお母さんのカリエスリスクを下げる」を必須にしています。

母子感染の話から善玉菌に変える提案を

黒澤さん:初診で来院された方には、必ずミュータンス菌の母子感染についてお話します。
「生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、必ずミュータンス菌が座る席が用意されています。ミュータンス菌の中でもよい菌がたくさん座ってくれると、むし歯のリスクは低くなる。反対に悪い菌がたくさん座ると、リスクは高くなってしまうんです」と説明。お母さんのミュータンス菌の質を善玉菌に変える提案をして、『デントカルト』によるだ液検査を行ないます。

お子さんもコロニーを見て感じてくれる

ばい菌を見て、目の色変えて「うわ~!」

三浦さん:2年ほど前に40代のお母さん、3歳と6ヶ月の姉妹が来院しました。全員菌が多く、カリエスリスクが高かったです。お姉ちゃんに「この青いのがお口にいるばい菌だよ」と見せると、「うわ~!」とビックリ。「だから、食べたらちゃんと歯磨きしようね」と伝えました。
そして妹は、歯が1本しか萌えていないのにコロニーがたくさん。お母さんは、自分の菌と照らし合わせて「私の治療箇所が多いからですね……」と反応していました。そこから親子でキシリトールやフッ化物の歯磨剤に取り組み始め、月に一度のメインテナンスにも3人で通うようになりました。

お母さんの気持ちと行動が変わった

東谷さん:このお母さんは今、第3子を妊娠中です。当時、歯がまだ1本の妹のミュータンス菌を見て、予防に対する意識が大きく変わりましたね。
かつては「今日は歯みがき、あまりできていないです」とよく言っていましたが、今はそういう言葉は出ません。妊娠期から母子感染の予防が始まっていることも理解していて、歯みがきをがんばり、キシリトールもしっかり摂っています。そろそろ2回目のだ液検査を行なって、リスクがどう変わったかを一緒に確認する予定です。

ヒアリングによって患者さん自身が気づく

生活背景に沿って提案することが大切

徳永さん:予防を提案するにあたって大切にしているのが、患者さんへのヒアリング。一方的な「やってください」ではなく、生活背景に沿って提案するから続けてもらえるんです。
普段の様子を聞く中で、「忙しいから疲れている」「花粉症で口が渇いている」と気づいてくれたり。ケアがうまくできない理由を自己分析して進んでいけますよね。それが信頼関係を築くきっかけとなり、定期的な来院につながっているんだと思います。

この地域に住む親子の2割に通ってほしい

徳永さん:今、私たちが目標にしているのが、この地域に住む親子の2割に通ってもらってお子さんのカリエスフリーを達成すること。院内の小児担当と成人担当で連携を取り、子どもたちの健康につながる活動をしていきたいと思っています。